- 猫の病気 ~寄生虫~
- 内部寄生虫
- 内部寄生虫はやっかい
前回はノミやダニなどによる外部寄生虫について掘り下げてみました。
寄生虫は外から見て分かるものだけではありません。
猫の病気 ~寄生虫~
猫が感染する寄生虫には、大きく分けて2種類の寄生虫がいます。
外部寄生虫
猫の毛や皮膚の表面に寄生する寄生虫です。
内部寄生虫
猫の腸や皮膚内部などに寄生する寄生虫です。
今回はこの2種類の中から内部寄生虫の種類と寄生方法と駆除方法について掘り下げてみます。
内部寄生虫
※ここから先内部寄生虫の画像があります。※
※苦手な方は目を細めるなどして、気をつけてご覧ください。※
猫回虫(ねこかいちゅう)
体長3~12cmくらいの細長い寄生虫です。
出典:http://insect.wolletlove.com/category/kiseityu/
寄生方法
猫回虫に寄生された野良猫などが土壌に排泄し、土壌や水にいる猫回虫の卵をねずみや猫がなんらかの拍子に口に入れてしまうことで寄生します。
内猫だけでしたら、あまり感染する可能性は低いのですが、同時に犬を飼っている場合感染する確率が上がります。
また、母猫が感染している場合、母乳を飲む事で子猫も感染します。
見つけ方
動物病院では、検便で回虫を確認します。
家で猫がうんちをした時に、白い卵のようなものが混じっていたら回虫の卵かもしれません。
白いひも状のものが混ざっていたらそれは回虫かもしれません。
予防方法と駆除方法
回虫の駆除剤を投与します。
いわゆる「虫くだし」です。
しかし回虫の駆除剤は、成虫にしか効かない為、お腹の卵が成虫になり駆除剤が効くようになるまで治療を続ける必要があります。
独自の判断で治療をやめると駆除が完全には行われない可能性がありますので、医師の判断に従いましょう。
原因となる猫の病気
猫回虫症
回虫は小腸に寄生し、栄養を取り込み成長していきます。
そのため、ご飯を食べても回虫の栄養になってしまいます。
食欲不振・下痢・嘔吐・食べても太らない・お腹だけが出ている等の症状が出ます。
回虫が成長し呼吸器官を防ぐ事もあり、咳をするようになる場合もあります。
まれに、咳と一緒に回虫が吐き出される事もあるようです。
子猫の場合は、成長期に栄養不足になるので特に危険です。
回虫は人間にも寄生します。
幼児が感染した場合、視覚障害などが起きる場合があり危険です。
猫鉤虫(ねここうちゅう)
1.5cm以下の細長い寄生虫です。
先が鉤のようになっています。
出典:www.ayabe-ah.com/
寄生方法
鉤虫に汚染された土壌などに触れた場合に寄生される事があります。
鉤虫に寄生された水を飲んだり、小動物を食べたりして感染する事もあります。
また、恐ろしい事に皮膚から入り込む事もあります。
母猫の母乳を飲む事で子猫が感染する場合もあります。
見つけ方
猫が鉤虫に寄生されると腸壁に咬み付き、出血が起きますので、うんちが黒くなります。
いつもとは違う黒いうんちが出た場合には、鉤虫を疑ったほうが良いでしょう。
うんちの中に白い卵が見える事もありますが、とても小さく見つけにくいです。
黒いうんちを持ち込み、動物病院で検査をしてもらいましょう。
予防方法と駆除方法
同じく回虫駆除剤で予防と駆除を行います。
医師の判断にしたがって駆除剤を投与します。
駆除は完全に体内から排除されるまで確実に行いましょう。
原因となる猫の病気
猫鉤虫症
成猫は少量の寄生虫では、ほとんど症状は出ません。
小腸に大量に鉤虫がいる場合は、酸化した血の混じった黒いうんちが出る事があります。
子猫が感染した場合は重症化することがあります。
人間が感染する事がありますが、成虫になる前に死滅してしまう事がほとんどです。
幼児など抵抗力の弱い人が皮膚から咬みつかれて感染すると、皮膚炎を起こす場合があるので注意しましょう。
ジアルジア(鞭虫の一種)
4~12μmと大変小さな寄生虫です。
出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/
寄生方法
ジアルジアに汚染された水や、水を使った料理を口に入れることで感染します。
見つけ方
肉眼では不可能です。
症状もまれに下痢をおこすくらいなので、判断する事は難しいです。
予防方法と駆除方法
こちらも駆除剤による予防と駆除を行います。
原因となる猫の病気
主な症状として下痢が挙げられますが、成猫の場合無症状のまま寄生されている事もあります。
子猫の場合は下痢とともに体重が減少する為、発育不良になる場合があります。
猫や犬のうんちから人に感染する場合があります。
また、衛生環境の悪い海外では集団感染も起きている為、5類感染症という届出義務のある感染症に指定されています。
もし感染が確認されたら、日本でも届出が必要な感染症です。
吸虫類
吸虫類はたくさんの種類がいます。
壷形吸虫・ルマン肺吸虫・宮崎肺吸虫など吸虫によっても大きさも違いますが、4mm~12mmほどの大きさです。
画像は壷型吸虫
寄生方法
吸虫に汚染されたカタツムリやナメクジ・カニなどを食べる事により感染します。
猫が直接食べなくても、それらを食べたネズミや鳥などを食べる事で感染します。
見つけ方
初期は特に症状が出ないので見つけようがないようです。
症状が進んでくると、下痢や咳をするようになります。
予防方法と駆除方法
駆除剤による予防と駆除を行います。
症状が重い場合はステロイドを使用することもあります。
原因となる猫の病気
猫肺吸虫症
最初は無症状なので寄生されていることに気づかない場合が多いです。
後に、下痢などの症状があらわれます。
この寄生虫は人間にも感染します。
人間は痙攣や呼吸困難など重篤に陥る可能性があります。
瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)
15cm~80cmもの大きさになる寄生虫です。
寄生方法
ネコノミに寄生されたりした場合、一緒に感染する場合があります。
猫が体を舐めた際に、ノミも一緒に食べてしまう事で体内に寄生虫を取り込んでしまいます。
見つけ方
猫のうんちの中に、この大きな寄生虫のちぎれた部分が残っている場合があります。
このちぎれた部分がうんちと一緒に排出される際には、痒みが伴う為猫はお尻を追いかけてぐるぐる回っている場面に遭遇する事もあります。
予防方法と駆除方法
駆除剤で予防と駆除を行います。
ノミを発見した場合、つぶすとまわりに条虫の卵が散らばる可能性があるので、つぶしてはいけません。
原因となる猫の病気
瓜実条虫症
症状が進むと下痢や食欲不振になったり、体力の低下が見られてきます。
人間にもうつりますが、猫から人間にうつるわけではなく、ノミから人間にうつります。
ノミの予防と駆除がとても大事です。
トリコモナス
10~20μmくらいの小さな原虫です。
小さすぎて目視できません。
出典:https://www.konekono-heya.com/
寄生方法
猫の糞便から猫に感染する場合が多いです。
寄生された野良猫がいる屋外などで感染します。
見つけ方
腸に感染して血が出るので、猫のうんちに酸化した黒い血液が混じるようになります。
予防方法と駆除方法
予防用の駆除剤はありません。
駆除に関してはトリコモナスに効く駆除剤と使用して駆除していきます。
ただし、完全に駆除できるわけではないようです。
一度寄生されたら長く付き合っていかなければならないようです。
猫に症状は出なくても寄生されたままですと、人間も気をつけなければいけません。
口からの感染のみですので、猫の排泄物を触った後の手洗いやうがいを念入りに行いましょう。
原因となる猫の病気
トリコモナス症
下痢・血便・脱水症状・肛門のまわりの腫れ・貧血・うんちが臭くなる・直腸脱・粘膜便などの症状があらわれます。
症状が出るのは、1歳未満の子猫が多いです。
1歳未満の子猫に症状が出ていても、成長して免疫力がついてくると症状が治まる場合もあります。
コクシジウム
1μmの小さい原虫です。
出典:http://www.kodama-ah.gr.jp/
寄生方法
野良猫など他の猫の糞便などから感染します。
見つけ方
猫のうんちに酸化した血が混じり、黒いうんちが出てくる事があります。
予防方法と駆除方法
予防用の駆除剤はありません。
駆除の方法は、コクシジウム用の駆除剤を使用します。
コクシジウムを室内から完全に駆除する為に、猫が関わった場所の煮沸消毒やスチームでの消毒も必要になってきたり、猫の隔離も必要になってきます。
原因となる猫の病気
コクシジウム症
こちらも成猫ですと特に症状が出ない場合が多いです。
1歳未満の子猫や、免疫力が低下している猫の場合、下痢や嘔吐・発熱・食欲不振などの症状が出てくる事があります。
完全な駆除にはかなりの時間と労力がかかります。
マンソン裂頭条虫
サナダムシの仲間の寄生虫です。
大きいもので100cmになる寄生虫もいます。
出典:http://catclinic.cocolog-nifty.com/blog/
人体から出てきた長い寄生虫の映像を見た事がある方もいるのではないかと思いますが、この寄生虫です。
寄生方法
猫がカエルや蛇を食べる事によって感染します。
内猫の場合、感染する事はほとんどありません。
見つけ方
猫のうんちにたくさんの卵が混じって排出されます。
予防方法と駆除方法
特に予防剤はありません。
検便などにより寄生が発見されたら、マンソン裂頭条虫に効く駆除剤を投与します。
駆除するとウンチと一緒に、長い虫が出てきます。
原因となる猫の病気
少数の寄生ですと無症状の場合が多いです。
大量に寄生されると、下痢・うんちが臭くなる・食べても太らなくなるなどの症状が出てきます。
寄生虫が大きくなってくると、腸閉塞などの重篤な症状があらわれる場合もあるので注意が必要です。
人間にも寄生しますが、猫から寄生することはありません。
人間も猫と同じく、カエルや蛇を食べる事によって感染します。
日本ではあまりカエルや蛇を食べる事は、無いとは思いますが海外旅行へ行った際には食べないほうが良いでしょう。
内部寄生虫はやっかい
内部寄生虫は猫の体内に入り込み、進行してからではないと症状が出ないやっかいな寄生虫ですね。
特に免疫力が弱い子猫や高齢猫などが危険です。
うんちの色や状態がカギのようなので、気をつけて見てあげるようにしましょう。
また、ノミやダニのように駆除剤での予防もあまりしませんので、日常的な予防が必要になってきます。
野良猫との接触を避けたり、カエルや蛇のいる場所にいけないようにする為には、室内飼いにする事が一番効果的なのではないかと言うのが私自身の感想です。
カエルは鶏肉のような味でおいしいとは聞きますが・・・。
ちなみにカエルや蛇は十分な加熱をすれば、マンソン裂頭条虫は死滅するそうです。
人間がカエルや蛇を食べる際には十分な加熱を忘れないようにしましょうね。
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