猫に有害な食品類 ~貝~
最近はあまり聞かなくなりましたが、昔から「あわびを食べると猫の耳が落ちる」という言葉が言い伝えられています。
この言葉だけだと猫にそんな贅沢なものを食べさせたらもったいないという意味のことわざみたいに聞こえますが実は違います。
「耳が落ちる」は、「耳が壊死する」事を言い換えているだけで、本当に耳が病気になるのです。
貝は猫にとって何か危険なのでしょうか?
貝とは?
「貝類」は、軟体動物の総称で、貝殻を持つもの(二枚貝・巻貝・ツノガイ・ヒザラガイ)と、貝殻を持たないもの(ウミウシ・ナメクジ等)も「貝類:には含まれる。
ただし、純粋に「貝」だけの表記だと貝殻を持つもののみを指す事が多い。
猫が食べられない貝類
猫が食べられない貝類はあわび意外にも、案外たくさんあります。
二枚貝
名前のとおり、貝殻が二枚になっている形状の貝です。
市場で見かけるものの代表として、アサリ・しじみ・ほたて・カラス貝・ほっき貝・赤貝・はまぐり等があります。
ミミガイ科の貝
耳のように楕円の形をした貝です。
市場で見かけるものの代表として、アワビ各種・トコブシ・ミミガイ等があります。
サザエ科の貝
市場で見かけるものの代表としては、サザエ・ヒラサザエ等いわゆる「○○サザエ」と名のついているものすべてです。
スーパー等で売られている貝は、ほとんどこの部類に入る貝ばかりですよね。
と、いう事は猫に貝は与えてはいけないと言う事になります。
ペットフードやおやつのほたては?
ペットフードの中には ”ホタテ入り” と書かれているものや、おやつにはほたての貝柱をそのままパッキングしてあるものも見かけますよね。
ホタテは二枚貝ですが、ペットフードとして販売されているものは猫に与えても大丈夫です。
ペットフードのホタテは、厳重に加熱処理をして内臓などを完璧に取り除き、貝柱だけを追加加工したりしてフードとして販売しています。
ペットフードとして販売されているホタテは安心です。
ただし、「ホタテ食べても大丈夫なんだな」と安易に自宅で生のホタテを加熱して与えても良いとは考えないほうが良いでしょう。
何故食べてはいけないの?
アワビやサザエ等
ミミガイ科のアワビやサザエ科のサザエには、食べた海藻類から取り込まれたクロロフィルが貝の中で分解されフェオホルバイドという毒になり内臓に蓄積されています。
猫がアワビやサザエを食べるとこのフェオホルバイドが体内の血液を駆け巡ります。
このクロロフィルが「日光過敏症」という症状を引き起こします。
これは人間にも当てはまる場合があり、実際に過去にはアワビやサザエを団体で食べて「日光過敏症」を集団で発症した例があります。
加熱しても毒素は消えない為、食べる時は注意が必要です。
二枚貝等
二枚貝の中には、ビタミンB1を破壊してしまうチアミナーゼという成分が含まれて居ます。
アサリやしじみをたくさん食べてしまうと、チアミナーゼがビタミンB1を破壊して、急性ビタミンB1欠乏症になります。
これは人間にも当てはまりますが、人間よりも猫の方が身体が小さい分摂取してはいけない量が少ない事は言うまでもありません。
ただし、このチアミナーゼは加熱すると毒素は消えますので、人間が食べる際には加熱して食べば問題はないかと思われます。
食べたらどうなる?
貝になってもいいですが、貝は食べないでください。
アワビやサザエ等
フェオホルバイドの毒が体内をまわり光線過敏症になると、日光に過敏に反応し皮膚の薄い耳や足などに炎症症状が出て皮膚炎になります。
食べたあと1~2日後に耳などが徐々に赤くなってただれたり、腫れたりして痒がります。かゆくてかきむしったりして炎症がひどくなると耳先が壊死してしまい耳が欠けてしまいます。
この状態が「猫があわびを食べると耳が落ちる」と言われている原因です。
このフェオホルバイドは貝によって蓄積されている量がちがいますので、アワビやサザエを食べた猫が、食べたらすべての猫が日光過敏症を発症するわけではありませんが、怖いのは加熱しても毒素は消えないという事です。
日光過敏症になると耳等皮膚の弱いところが炎症を起こすのですが、一番怖いのはその周辺がガン化してしまうことです。
日光過敏症の症状
出典:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/
二枚貝等
ビタミンB1欠乏症になると、まずは食欲が落ちて嘔吐をするようになります。
進行してくると、運動能力が落ちて歩き方がおぼつかなくなったり、大声で鳴いたりと普段とは確実に違う行動をとるようになります。
さらに進行してくると、痙攣や呼吸困難になったりこん睡状態になり最悪の場合、死に至る場合があります。
併発しうる病気は?
各種皮膚炎
皮膚が炎症を起こしているので、様々な皮膚炎に感染する可能性があります。
各種ガン
日光過敏症で炎症を起こした部分がまれにガン化する事があります。
たとえばガン化した耳は周りに拡大するのを防ぐ為、切除してしまいます。
それでも拡大が止まらない場合は炎症が痛々しく広がっていき、死に至る事もあります。
ビタミンB1欠乏症と同時に発症しやすい病気は特にありませんが、ビタミンB1欠乏症の間は体力が低下しているので、体力低下時にかかるような病気にかかりやすいです。
食べてしまったときには?
すぐに動物病院を受診しましょう。
どれくらい前に食べたか、食べた量、生なのか加熱済みなのかを聞かれますので、詳しく獣医師に話してください。
食べてそんなに時間が経過していない場合は、薬を使って吐き出させる処置をします。
吐き出さない場合は胃洗浄などの処置と、炎症反応を抑える薬を投与したり、症状に応じて対処します。
貝は食べさせないほうが良い
猟師さん、猫に貝は与えないでください。
結論から言いますと、猫に貝は食べさせないほうが猫の為には良いと言えます。
人間の食べ物と同様の手作りフードを作っている人は注意しなければいけません。
あわびやさざえは人間が贅沢品と考えているので、もしかしたら猫にもぜいたくをさせてあげようと食べさせる人もいるかもしれませんが、猫にしたらいい迷惑ですね。
人間が少し気をつけるだけで、愛猫の病気を防ぐ事が出来ます。
愛猫にずっと健康でいてもらう為にも気をつけましょうね。
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